第8章 君を驚かせたい※
「信じてない顔してる」
可笑しそうに笑われてムッとした。
ゲンガーはわるいやつと人間は言うが、
それなら俺をいじめて笑う
レナだってわるいやつじゃないのか。
「その……あのね、
人間はお互いを舐めたりするのは……
は、恥ずかしいことなの」
「ンゲン……?」
ハズカシイ。ハズカシイってなんだ。
俯いたレナの頬に触れてみる。と、
まるで俺が"したでなめる"をされたように
触れた手がザワザワと熱くなって
驚いてひっこめる。……なるほど、
これが"ハズカシイ"なのか。
「ゲンガ」
べろ、とレナを舐める。
じたじた、と両手を突き出して抵抗する
レナと互いに恥ずかしくなるのが分かった。
「だ、だから……恥ずかしいから……!」
「ゲン……」
舌をひっこめる。……あれだ。
俺は驚かせて怒らせるよりこうやって
レナを恥ずかしがらせる方が
好きなのかもしれない。