第19章 利害と信頼/ユナイト編4
「ナァオ!」
ゼラオラが人懐っこい笑みを浮かべ
手を振っている。
ゼラオラは思ってたよりも
声がこもっていて低かった。
「ゼラオラ、私……
あのねコレを返しに来たの」
エナジーを失い電子の粒となった
マフラーを箱から出す。
ゼラオラが箱を持った途端に
マフラーは色を取り戻した。
「…………」
口を閉じ、マフラーを見つめる。
が、すぐにゼラオラはニコッと
笑ってマフラーを身に付けた。
薄手のマフラーとはいえ
この島では暑いだろうに。
「ナン!ニャー!」
テーブルを軽く叩くと
メニュー表を差し出してくる。