第3章 お近づきになりたい
「よし!今度こそは……!」
「おはよう、なんだか張り切ってるね?」
博士がコーヒー片手に声をかけにくる。
この様子だとまだ前回の調査記録を
分析していて依頼はなさそうだ。
「じつは……あのデュラス島の洞窟、
人気ポケモンのゲンガーがいるんです!
しかも人に寄ってくるんですよ!
コレは逃す手はない特ダネなんです!」
熱弁すると博士は肩をすくめた。
前までこの人はポケモンが
"好き"なのだと思っていたけれど、
最近はなんとなくソレも疑問が浮かぶ。
子供たちの写真にも笑顔こそ向けているが
受け答えはどれも似たり寄ったりだ。
良い映りの写真よりも生態や身体特徴が
分かりやすい写真を褒めちぎるし、
このままでは子供たちとすら温度差が
生まれてしまうのではないだろうか。
「ブイ!」
「おっとごめんよイーブイ」
博士が朝御飯のポケモンフーズを
イーブイに与えるのを見、
電撃が走った気持ちがした。
「これだ!!!」