第7章 望まれた悪夢
「まああぁぁた鶯丸っ!?」
「どうどう」
大広間で盛大にキレ散らかしている加州を、牛に対するやり方で薬研はなだめる。
加州はついさっき、鶯丸と二人で話したいと審神者部屋を追い出されてきたらしい。
前回は同席していたが、今回は違うようだ。
まぁそんなことを言っても火に油を注ぐだけか。
とはいえ、薬研も似たような思いでいた。
最近大将は、よく鶯丸と二人で話し込んでいる。
鶯丸から話をすることもあるし、逆もある。
それがまた気に入らないのだろう。
一方通行ではないということだからだ。
最近顕現された、この本丸で最上のレアリティを誇る男士と、大将が二人きり。
話している内容は、不明。
初期刀の加州が穏やかでいられないはずである。
それだけではない。
最近妙な噂が囁かれているのだ。
その噂のせいで、加州も、ほかの男士も程度の差はあれどナーバスになっている。
噂の元は、審神者や男士が自由に書き込めるネット掲示板だ。
情報源の信頼性が不確かにもほどがある?
侮ることなかれ。
似た内容の書き込みが複数あり、いくつかの書き込みは“削除”されているというのだ。
噂の内容はいたってシンプル。
『人が変わった』