• テキストサイズ

【刀剣乱舞】ラプラスの演算子

第1章 主が消えた夜


 夕陽が地平線にとっぷりと沈むころ、鶯丸は縁側に座って、いつものように茶を飲んでいた。

 隣で同じく茶を飲んでいるのは、三日月宗近だ。

 本丸が休日モードのせいか、いつにも増してのほほんとしている。

 ぱち、という 小気味よい音が響く。

 三日月が石を置いた音だ。二人は囲碁をしていた。

「三日月、囲碁を覚えてどのくらいだったか」

「そうだな、一か月くらいだと思うが」

「ほう……なかなかいい手を打つじゃないか」

「そうなのか? まだ俺にはよくわからんでな」

 小首を傾げ、三日月はのんびりと微笑む。

 初心者だと侮っていたわけではないが、油断していると足下をすくわれてしまいそうだ。

 太刀としてはもちろん、本丸においても古参の部類である自分が、まだ新顔に類する三日月に敗北するわけにはいかない。

 鶯丸はそんなことを考えながら、盤を見つめた。

 離れから喧噪が聞こえる。一日が終わろうとしている、心地よい静けさがあたりを包んでいた。

 そんな中へ、ドタバタと足音が駆け込んでくる。
/ 223ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp