第2章 みんなのいない朝
「ふわぁ~あ……」
あくびとともに伸びをして、目をしばたいた。緩慢な動きで立ち上がり、障子をあける。
わりと高めな位置で燦々と光を降り注いでいる太陽が、私を出迎えた。
寝起きの瞳はまだ光に慣れておらず、まばたきを繰り返す。
どうやら寝坊してしまったらしい。
いくら宴会の翌日とはいえ、必ず誰かが起こしに来るはずだが。
少々ふしぎに思いつつ、手早く支度を済ませる。
とりあえず広間に行こうと部屋を出るも、起きたばかりなせいか、それとも昨晩飲酒したせいか、頭は靄がかかったようにぼんやりとしていた。
しかし、広間に踏み入った瞬間、そんな靄が吹き飛ぶ。
「え……」
異様。
そうとしか言えない光景が、目の前に広がっていた。
広間には、ほとんどの男士がそろっていた。
服装はきちんと整えられていて、それぞれ席についている。
皆、黙って、だ。
衣擦れの音すらしない静寂が、広間を支配していた。
「お、おはよ……?」
恐る恐る挨拶すると、全員が無言で礼を返してきた。
時代劇とかで臣下が殿に対してする、あのかんじでだ。
とりあえず無視されなかったことに安心していいのか、新手のドッキリなのか、眼前の景色はどういう状況なのか頭を抱える。
ヤバイ……もしかして、昨日の宴会で凄まじくドン引きされるような粗相をしたせいで、こんなことになっているの!?