第12章 侵入作戦
「大丈夫か?」
「――はっ、す、すみませんっ! 僕が緊張するなんて変ですよね!?」
「……今回もそんなことはない」
いよいよ保管室に侵入する日がやってきた。
審神者はまたもや、目に見えてわかる程度に緊張していた。無理もない。一振りの刀剣の、そして、ことによると一人の審神者の命がかかっているのだ。その目の下のクマは、尋常でないくらいに黒く濃かった。
男士の中にも同じように、しかも目がしょぼしょぼしている者がいる。もしや、緊張で眠れなかったのだろうか。
とはいえ、クマとは相反し、審神者の双眸には強い光が宿っていた。前田とその審神者に会う前は、ただ緊張に震えていただけなのに。記憶を取り戻したせいだろうか。
たった数日なのに、一回り成長したように見える。今日の計画だって彼の発案だ。
鶯丸は頭の中で再確認していく。
研修へ行く審神者に随行するという形で、政府に乗り込む。陽動班がセキュリティや警備員の注意を引いている間に、保管室に侵入する。保管室で山姥切国広を発見し、連れ戻す。あるいは、主の居場所がわかれば、そのまま向かう。
保管室がある西棟は、原則として政府関係者以外立ち入り禁止だ。このエリアに侵入したのちに、前田と合流する算段である。
その先からサポートします、と前田の審神者が言っていた。
それまでは、自力でどうにか職員の目をかい潜らないといけない。