• テキストサイズ

【刀剣乱舞】ラプラスの演算子

第9章 楼閣崩壊と彷徨わない亡霊


 あんなことがあったのに、政府は容赦なかった。

 戦力拡充イベントの日課は、毎日変わらず下りてくる。

 とは言え、一昨日も昨日も今剣を探すのに手いっぱいで、他には何もできなかった。

 それからというもの私は、日課を消化することに集中するようになった。

 そうでもしなければ気が狂いそうだったからだ。

 何かに精神と身体をつぎ込んでいなければ、頭の中で際限なく悪夢がうみだされ、体を動かなくさせてしまうと思った。

 当然、今まで以上に、陽が落ちる頃には気力も霊力も使い果たしているようになった。

 疲労のおかげで布団に倒れこめば、しばらく意識を眠らせることができる。

 悪夢に飲み込まれる、その一歩手前で逃れることができる。

 それでも夜、目が覚める。

 まどろみは一瞬で消し去られ、今剣の姿を探し始めてしまう。そしてそのたびに絶望を刻みつけられる。

 あの高下駄の音は、もう本丸のどこからもしなかった。
/ 223ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp