第67章 後悔 ❇︎
ガラッ…
『おぉ、松本。お前にしては仕事が早かったなぁ。』
酒焼けしたような声が響くと、女性を襲おうとしている男達が血相を変えて立ち上がり、一斉に頭を下げた。
祐「…親、分…」
流石の祐一も苦い顔をして泰葉から手を離す。
泰葉が杏寿郎だと望みを持った相手は、残念ながら坂本組の親玉、坂本和誓だった。
和「その女か。お前の惚れた女は。」
祐「…いや、違います!」
祐一は咄嗟に嘘をついた。
いくら歯向かえる相手じゃないとしても、泰葉を取られるなんて耐えられない。
すると、ズカズカと向かって来た和誓は祐一の喉元をガシッと掴み上げ、祐一の身体は浮いた。
祐「うぐ…」
和「俺に嘘をつくたぁ、よっぽどこの女が気に入ってるようだなぁ。」
和誓は泰葉を見下ろす。
「はぁっ…、はぁっ…」
泰葉の息は荒く、意識も朦朧としている。
近くに落ちていたのは赤い小瓶。
和誓はニヤリと口角を上げる。
和「…お前、1番高いヤツ飲ませてんじゃねぇかよ。
しゃぁねぇなぁ、そこで黙って見てろ。」
祐一をドサッと投げ捨て、和誓は泰葉の顎を持つ。
「ふぅ…んっ…はぁっ」
目を潤ませ、苦しそうにしている泰葉の表情に、和誓はゾクゾクッと興奮が湧き上がり身震いした。
和「いい、いいねぇ。久しぶりだせ、この感覚…!!」
和誓は泰葉の鎖骨から顎にかけてべろりと舐めた。
「ひゃあ…あぁっ…!!」
ビクビクっと身体を震わせ、何とも言えぬ声を上げる泰葉。
(いや、嫌だ…!!助けて…!!)
心の叫びとは裏腹に嬌声が出てしまう。
そんな自分に涙が溢れた。
和「おいおい、今のでイっちまったか?」
ニヤニヤと笑う和誓の顔は涙で滲んで、はっきりとは見えない。
しかし、杏寿郎じゃないのは確かだ。
身体は反応してしまっていても、心では一つも感じられる筈が無く、気持ち悪さしかない。
和誓は容赦無く泰葉の体を舐めまわし、布に覆われた2つの膨らみに手を伸ばす。
乱暴に鷲掴まれれば、悲鳴に近い声を上げた。
祐一はその様子をただただ、絶望の顔で見ている。
自分の昂りをどうしようもできず、苦しいだけだった。