第66章 消失
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杏寿郎は要の案内により、ずらっと倉庫が並ぶ場所へとやってきた。
杏「要、どこにいるか分かるか⁉︎」
要が旋回し様子を探るが、特定ができない。
しかも、特殊な薬品が使われているようで動物の鼻も利かなくされているようだ。
杏「虱潰しに探すしかないか…。」
『煉獄様!!』
杏寿郎を呼ぶ女性の声。
それは天元の3人の嫁達だった。
杏「奥方達!」
ま「天元様に言われて参りました!」
須「解毒剤、たくさん持って来たので、もう安心ですぅ!」
杏(む、解毒剤?)
3人の背中には四角い箱のようなものが背負われている。
雛「この辺は薬品の匂いがすごいですね…。動物も鼻が利かない。」
杏「あぁ。要も分からず困っている。」
ま「しかも、あたし達の行手を惑わすためか、男達がいろんな倉庫を出入りしています…。」
ただの悪党にしては、準備もいいし目眩しもされている。
よほどこの計画を立てた者はキレ者なのだろう。
杏「とりあえず手分けをして探そう。見つけたらすぐに俺に知らせてくれ。女性だけでは危ない。」
『承知しました!』
杏寿郎達はそれぞれに手分けをし、倉庫の中を探る。
以前は塩などの保管場所だったのだろうか、50棟近く並ぶ倉庫を用心深く探るのは簡単ではなかった。
杏(…泰葉さん、無事でいてくれ。)
気持ちばかり急かされて、見つかってしまっては意味がない。
杏寿郎は心を落ち着かせながら、慎重に探りを進める。
男達は意味もなく倉庫を出入りし、惑わそうと動いているようだ。
杏「ここ…でもない。」
見つけたら要に伝え、知らせが来るようになっている。
未だ要は旋回したまま。
杏「…急がねば。宇髄が鴉に頼んでいたのは解毒剤…。それが必要な可能性が高いということか。」
杏寿郎は次の倉庫に向かおうとした時、背後にふわりと人の気配を感じた。
杏「…!!」