第61章 安堵
「さぁ!食事の用意ができましたよ!」
さつまいもご飯に、なめこの味噌汁、秋茄子の煮浸し、焼き魚…
ほかほかといい匂いが立ち込めた。
『いただきます!』
はくはくと美味しそうに頬張る杏寿郎。
槇寿郎も千寿郎も美味しい美味しいと食べてくれる。
杏「やはり泰葉さんと千の作ってくれる食事は美味い!!」
「秋はさつま芋がさらに美味しいですからね。きのこも多く出てくるでしょうし、秋はいいですね。」
千「きのこご飯とかもいいですね!」
楽しく食卓を囲んでいると、なんだか外が騒々しい。
槇「なんだ?羽音がするから、鴉達か?」
泰葉が居間の窓を開けると、窓縁に要がハァ…とため息をついて止まる。
「どうしたの?」
泰葉が尋ねると、要はアレを見てみろと言わんばかりの視線を投げた。
要の視線の先には2羽の鴉がやり合っている。
『テメェ!虹丸様ガ先ニ来タンダカラ 待ッテロ!』
『ドチラガ先モナイデショウ!馬鹿ニサレテイルンデショウカ。』
1羽は見覚えのある派手な装飾を施し、もう1羽は飾りなどはないものの、羽の艶があり鴉の中でも美人なタイプ。
『虹丸 ト 艶(えん)ガ 揉メテイル。』
要が疲れた様子でそう言った。
きっと仲裁に入ろうとしたのだろう。羽元が少し乱れていた。
「そう、大変だったね。」
要の羽の乱れを整えてやり杏寿郎に目配せすると、相分かったと頷き立ち上がる。
杏「宇髄の鴉よ!!君の話は俺が聞こう!!」
『虹丸様ダァ!!』
「艶さんは私が聞きますよー!」
虹丸と艶はそれぞれの元に降り立つ。
2羽の鴉の要件は
虹丸は、宇髄邸でたくさんのさつま芋ができたので、皆で芋掘りににきたらどうだという誘い。
艶は蝶屋敷に検診に来るように、との事だった。
杏「うむ。胡蝶の方が優先だな。明日にでも出向くとするか!」
「艶さん、明日行きますと伝えてください。」
『分カリマシタ。』
艶は頷いて空に飛び立つ。
杏「では、宇髄の鴉よ!芋掘りには今週末に出向くと伝えてくれ!!」
『ダカラ!虹丸ダァ!!声ガデカイナ!!』