第56章 残暑と秋
『いただきます!』
朝食からとても賑やか。
まるで兄弟の多い大家族。
たくさん用意したおかず達はあれよあれよと消えていく。
杏「うまい!」
蜜「おいしいわぁ!」
天「おい!そこの師弟!!少しこっちにもよこせや!」
「まだこっちにもありますから、喧嘩しないでください。」
千「味噌汁のおかわりはいかがですか?」
こんな感じで食事も一通り終わり、ひと段落したところで実弥がそうだと口を開く。
実「おう、昨日俺が持ってきた西瓜、あれで西瓜割りしようぜェ。」
天「おっ、いいねぇ!」
意外な人から意外な提案が出てきたな…。
そう思ったが、みんな乗り気で楽しそうにしている。
(西瓜割りか…やったことないな。)
泰葉は未経験な西瓜割り。
目隠しをして周りの指示に従い、棒を振り落とすと西瓜が割れる。
柱が一振りしたら西瓜は粉々になってしまうのでは?と考えて少し吹き出しそうになっていると、しのぶがポツリと呟いた。
し「しかし、私たち柱は目隠しをしても西瓜の位置が分かってしまいますよ。」
「…え、そうなの?」
杏「いかなる時も鬼を斬らなくてはならなかったからな。気配が分かってしまうんだ。」
ここにいるのは皆、柱。
そして元炎柱。
千寿郎は呼吸を習得しようと励んできた身。
完全ではないにしても分かるようだ。
「…ってことは。」
全員がじっと泰葉をら見つめた。
「ですよね?」
たぶん、西瓜の気配を感じられないのは私だけ…ってことですよね。