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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第56章 残暑と秋



朝日が部屋に差し込み泰葉の目元を照らす。


「んん…」

もぞもぞと寝返りを打つとトンっと行き止まり、それが愛しい人だと気づくと、何よりも幸せを感じた。
鍛錬を続けていて、いつもなら日が登る頃には起きている杏寿郎もすやすやと寝息を立てている。


朝日に照らされきらきらと光る髪。
寝ている時の顔は、あどけなさが残る。
これが夜になると色気しか感じないほどなのだから困ったものだ。


「綺麗な寝顔…。」







・・・・・・。



「って…!!!朝っ!!朝ごはん!!!」


ガバッと起き上がると、杏寿郎も驚いたように起きた。

杏「どうしたんだ、泰葉さん。そんなに腹が減ったのか?」

飛び起きるようにして、第一声が「朝ごはん」とは。
昨夜愛し合った甘い雰囲気など微塵も感じられない。


「違いますよ!今日は皆さんがお泊まりになったでしょう?
朝ごはんも、沢山作らないと!!だから、早く起きたかったの!」


乱れた着流しを整える杏寿郎を横目に、泰葉は髪を梳かしたり、別室で着替えたりと忙しく身支度を済ませる。

杏「なるほど。では、俺も急いで支度をしよう!」

「杏寿郎さんは慌てなくて大丈夫よ。支度が済んだら男性陣の様子を伺ってもらえれば。」

杏「むぅ。」
杏寿郎はその返答に、少し不満そうだ。
何か手伝えることがあれば手伝いたいのだ。

「お願い、杏寿郎さん。貴方にしか頼めないの。
…私が…様子を見に行ってもいいの?」


その言葉でピクリと太眉が動く。
寝起きの彼ら…布団が敷かれた部屋に泰葉が入ったなら、何をされてしまうか分からない。

杏「それは絶対にいかん!!俺が行く!!」

「わぁ!ありがとう、杏寿郎さん!!」


にこりと微笑んで泰葉は離れを出た。
だんだんと朝の空気がひんやりとしてきたように思う。


母屋に向かっていくと、ふわりと出汁の香り。


(千寿郎くんがもう始めてくれてるんだわ…!)


急がなくては…とパタパタと台所に向かう。


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