第51章 誓い
「…はい。喜んで。」
「ふふ、勝ち戦ね?」
にっこり笑うと、杏寿郎は立ち上がり泰葉をぎゅっと抱きしめた。
杏「あぁ。そうやもしれん。西ノ宮家の皆さんが証人だ。
こんなに沢山の人の前で誓ったならば、嘘をつけまい。」
「ふふ。嘘をついたら一族が枕元に来てしまうわね。」
杏「よもや!それは大変だ!」
2人は笑い合い、杏寿郎が泰葉の頬を撫でる。
杏「…俺は…いや、やめておこう。
寿命の話も、俺に至らない点もある事は泰葉さんはお見通しだろうから。」
「私もやめておく。
不束者のことも、貴方とならば何だって頑張れるって事も、杏寿郎さんにはお見通しでしょうから。」
徐々に近づく2人の鼻先。
杏「しかし…一族の皆さんの前だと思うと…この先をしていいものか。」
その時
ブワッ
優しい旋風が起こり、桜の花弁を舞上げた。
その花吹雪が2人を包む。
「一族達は良いって言ってる。」
杏「…君にも聞こえたか?」
「俺にも、そう聞こえた。」
優しく、愛情をこの上なく込めて。
2人の唇は
誓いを結ぶように
重なった。