第49章 体温 ❇︎
ここまでの愛撫で軽いものも含めれば4度は達している気がする。
だんだんと泰葉の腰も動きはじめ、蜜口に昂りを誘導しはじめた。
しかし、焦らされるように杏寿郎の先端は逃げ、陰核を刺激する。
「あ、はぁ…あぁっ、あん…」
その度に泰葉の口からは高い声が漏れ、とうとう堪らなくなってしまった。
「き、杏寿郎…さんっ、も、もうっ」
生理的な涙を浮かべ、口付けの合間に杏寿郎に訴える。
すると、杏寿郎はニヤリと笑った。
「どうした?もっと…こうか?」
わざとらしく、また陰核へ擦り付ける。
その刺激に、またピリッと痺れる。
杏寿郎は泰葉に言わせようとしている。
それが少し悔しい気もするが、何ともそんなことを対抗する余裕はない。
「ち、ちが…、もう…欲しい…欲しいのっ」
こんなことを言うのは羞恥だ。
しかし、この笑みを浮かべた杏寿郎は自分も辛かろうと、言うまで挿れないだろうと思った。
「何が、欲しい?指か…?」
この期に及んで、さらなる追及をするかと驚く。
「…び、じゃなっ…、杏寿郎…さんの、これを…挿れて…」
杏寿郎の昂りを何と言っていいのか分からない。
必死な思いで杏寿郎の昂りに手を伸ばし、挿れて欲しいと懇願した。
そんな淫らな頼み方をする泰葉に、杏寿郎の欲が耐えらるはずもない。
日頃の彼女からは想像できない姿だ。
「…っ!
正気に戻った君に叱られるかもしれないな。
説教なら後でいくらでも受けよう。」
杏寿郎が先端を蜜口に充てがうと、招き入れるかのようにひくついているのが分かる。
焦る気持ちを抑えつつ、ゆっくりと押し広げていく。
久しぶりだからか、窮屈にも感じる。
「息をゆっくり吐いて。深呼吸をするんだ。」
泰葉が言われたように、すー、はーっと呼吸する。
杏寿郎もそれに合わせるように呼吸をし、ずっずっと沈めていった。
何度かそれを繰り返すうちに入ることができた。
「はぁっ、あぁっ」
圧迫感からか、少し苦しそうな喘ぎをして、顎を上げる泰葉。
「大丈夫か…?入った…。」
杏寿郎の言葉に泰葉は満足そうに微笑みを見せる。
少し馴染むまで、動かずに様子を見た。