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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第49章 体温 ❇︎



玄関を閉め一応鍵をかける。
そして、振り返ると杏寿郎にふわりと抱きしめられた。
杏寿郎とほんのり酒の匂いが嗅覚を満たす。

杏「今日は…離す気など毛頭にない。」

急に言われた言葉に、泰葉の心拍数が一気に上昇する。

「と、とりあえず、上がりましょう?…わ!」

玄関ではなんだ。
とにかく中に入ろうと促すと、杏寿郎はいきなり泰葉を横抱きにする。
手早く草履を脱がされ、杏寿郎の草履と並べて揃えられた。

その間もずっと横抱き。
すると、そのまま風呂場へと向かう。
浴槽前に降ろされ、杏寿郎は湯を張り始めた。

「あ、ありがとう。何も抱いて来なくてもよかったのに…⁉︎」


泰葉がそう言いながら杏寿郎を見ると、杏寿郎は泰葉の浴衣の帯に手をかける。
…まさか?
と思った時にはもう遅く、シュルシュルと帯は泰葉の身からは離れていった。

「ちょ、えっ、杏寿郎さん⁉︎」

杏「言ったろう?君を離す気など毛頭にないと。
ずっと我慢してきたが、君に触れたかったんだ。
そして、あの戦いのせいもあって余計に昂っている。」

確かに、泰葉の腰元にはごつごつと硬い何かが感じられる。
そう意識し始めると、余計に恥ずかしさが増した。


杏寿郎はちゅっと口付けをする。
何度か啄んだと思ったら、ゆっくりと舌を差し込んできた。

「ん…ふ…んぁ…。」
「あぁ、可愛い声だ。泰葉。」


帯がなくなり、はだけた浴衣の隙間に手を差し込まれる。
鎖骨から肩、二の腕と撫でられて行けば、自然と浴衣はバサリと落ちる。
その間も舌を追い回され、浴衣に構う暇など与えられなかった。
泰葉は杏寿郎の着流しの袖をキュッと掴み、この快感に耐えるので精一杯だ。


「…泰葉は、こうしたくなかったか?」

唇を離し透明な糸がぷつりと切れた時、杏寿郎が尋ねてきた。
自分の気持ちを表さない泰葉が気になったのだろう。
珍しく余裕のない表情の杏寿郎を見る限り、本当にずっと我慢してくれていたのだと感じ取れた。


「そんな事ない。」

「それでは分からん…。」

「…私も、杏寿郎さんとこうしたかった。」


泰葉の口から漸く気持ちが漏れた時、杏寿郎は堪らず口付けた。
その口付けは貪るような荒々しく、でも労るように。



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