第46章 希望の光
…………………。
『うぉおおおおおお!!!!!』
『勝った、勝ったんだぁぁぁ!!!』
『終わった、長い戦いが終わったんだぁぁ!!!』
終わりを噛み締めた全員は涙を流し、抱き合い喜びを分かち合っていた。
泰葉はへたりと座り込む。
もう全身の力が抜けてしまって、立っていられなくなったのだ。
終わった…
終わったんだ…
これで、鬼に命を脅かされることもない…
平和が訪れるんだ。
「よく戦い抜いてくれたな…」
泰葉の頭上から声がした。
上を向くと杏寿郎。
ドサッと隣に座ると流石に杏寿郎でも堪えたのだろう。
ガクッと頭を下げて疲れた様子だ。
「終わった…ね」
泰葉が微笑む。
杏寿郎は少し頭を起こし、泰葉の後頭部に手を回してグイッと引き寄せた。
「ん…」
杏寿郎の唇がカサついている。
泰葉は、それを潤すかのように内唇で啄んだ。
杏寿郎は口内を切っていて、少し血の滲んだ味がする。
杏「ん…今はこれくらいにしておこう。傷も治った。
そして、そんなに煽られたら君に酷くしてしまうかもしれん。
今、俺の気持ちは昂っているからな…」
慌てたように唇を離していくところを見ると、本当なのだろう。
実際、泰葉も心臓はこれ以上ないくらい脈打ち、身体の感覚もあまり感じられないほどの興奮状態だ。
皆の怪我は…と、見回すと疲弊で倒れ込んではいるが、大きな怪我をしている様子ではなかった。
「みんな…怪我してない?」
杏「大きなのはないだろう。あの飴のおかげで助かった。」
しのぶが頑張って作ってくれた飴。
薬と同じ効果があったが、出血と共に流れ出たりで消費は激しかった。
正直、無惨との戦いの時に飴を切らしてしまった柱は殆ど。
でも、こうして全員生きていられたのは
鴉達のおかげ。
隠含めて全隊士に配られたが、中には飴を舐める暇もなく一撃で命を奪われてしまった人もいる。
鴉は主たちのために必死に落ちた飴を拾い集め、瀕死状態の主に舐めさせたのだ。
今も心配して、それぞれの主のために飴をいくつも運んできている。
伊之助、善逸も同じ。善逸の鎹…雀は体が小さいので大変だっただろう。
善「治ったけど痛いものは痛い〜!!!」
現に元気な叫びが聞こえて来る。