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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第42章 僕のものに



金崎侑…凝慘が消えゆく姿を見届けた泰葉と杏寿郎は、また口付けを交わす。
これは無事を喜ぶ安堵に満ちたものと、たった今操られ傷を負った互いを治癒する為のものだ。


「ん…んくっ…」
「…はぁ…」

クチュっと音を立てて唇を離せば唾液が糸を紡ぐ。
これが、こんな壮絶な戦いの最中でなければ…と、どんなに思っているだろうか。

「たくさん殴ってしまって…ごめんなさい。」
杏「これは君のせいじゃない。それに、ほら…もう何ともない!」


杏寿郎は安心させるように、いつもの快活さに戻る。
その様子に思わず笑みが溢れる。
それと…と杏寿郎は泰葉の髪に触れる。

杏「忘れ物だ。」

泰葉の伸びた髪は少し高めに一つに結いあげていた。
そこに杏寿郎はパチンと髪留めを施す。
金色の中を泳ぐ金魚。
金崎に攫われたときに落として行ったものだった。


「ありがとう。」

杏「あぁ。では、行こう!皆も危機に遭っているやも知れん!!」

「…はい!」


2人は部屋を出て、どこに繋がるかわからない廊下をひた走る。
途中何体も鬼が出てくるも、杏寿郎が技を出すこともなく斬り伏せた。


杏「むぅ、すごい数の鬼だな…
泰葉さん、決して俺から離れないでくれ!」

「…はいっ!」




そう誓ったはずなのに…。







ベンッ




琵琶の音が鳴り響く…






ベンッ






杏寿郎と泰葉の間に突如現れた襖。
走っている目の前に現れれば止まることはできず。



その開かれた口に引き込まれるようにして泰葉の姿は杏寿郎の前から消えていった…。







「泰葉ーーー!!!」




杏寿郎の呼ぶ声が木霊する。






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