第40章 作戦
「千寿郎くん、おはよう!」
泰葉が挨拶をすると、千寿郎も笑顔で「おはようございます」と返す。
既に大量の米を炊いていた。
少し出遅れてしまったようだ。
「ご飯が炊けるまで、卵焼きでも焼こうかな!」
千「良いですね!皆さん喜ぶと思います!」
朝の稽古の走り込みから戻ってきたのだろうか。
朝からぜーぜーと死にそうな顔をした隊士たちが門を潜る。
炭「あれー、煉獄さんが先に戻ったんだけどなー…」
炭治郎の声が聞こえる。
杏寿郎を探しているらしい。
泰葉も朝から見ていないからどこにいるのか分からなかった。
「杏寿郎さん、いないのかな?」
千「さぁ?どちらへいかれたのでしょう?」
そんなことを話していると、炭治郎の足音がこちらに向かってくる。
炭「こっちにいたんですね!煉獄さん!」
ひょこっと台所に顔をのぞかせる炭治郎。
そこに杏寿郎がいるはずもなく、泰葉と千寿郎の姿のみだった。
「おはよう、炭治郎くん。杏寿郎さんはこっちにはいないんだ。」
眉を下げて微笑む泰葉に炭治郎はおかしいな、と首を傾げる。
炭「煉獄さんの匂いがするんですけど…なんでだろう?」
「千寿郎くん…とか?」
炭「いえ、千寿郎くんは千寿郎くんの匂いがあるので…。
どちらかと言うと泰葉さんから煉獄さんの匂いがします。」
『えっ⁉︎』
泰葉と千寿郎の声が重なる。
泰葉はスンスンと自分の匂いを嗅ぐ。
しかし、全く分からない。
炭「…でも、いないんですもんね…。
おっかしいなぁ…」
そう言いながら隊士たちのところへと戻っていく。
泰葉は気が気でなかった。自分から杏寿郎の匂いがする…
思い当たるとしたら、身体を重ねた…それしかないだろう。
千「た、炭治郎さんの鼻も、間違えること、あるんですね!!」
「そ、そうね!疲れてるのかしら?は、ははっ!」
顔を真っ赤にしている千寿郎がバレバレな誤魔化しをしてくれている。
これはどういうことか分かっているのだと、泰葉も顔を真っ赤にした。
当の本人、杏寿郎は道場の準備をしていて、すぐに庭に現れたのだった。