第35章 誕生日 ❇︎
杏「む、なぜ頬なんだ?どうせならここが良い。」
杏寿郎は唇を泰葉の唇に押し付ける。
「杏寿郎さんは、口付けが好きなのね?」
杏「うむ、泰葉さんと口付けてから、いくらでもしたいと思うようになった!!」
ふふふと、笑い合う2人。
杏「さて、まだまだ気持ちはあるが、初めてだったからな。
明日も仕事だ。支障が出ないようにしないとな!」
泰葉は気付いていた。杏寿郎のモノはまだまだ元気だということを。しかし申し訳ないが、明日も仕事。
寝なくては体が持たないだろう。泰葉は、見ぬふりをして身体を綺麗にするために風呂場へと向かった。
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ササッと洗って、杏寿郎と代わろうと思ったのだけど…
だけど…
杏「身体は辛くないか?」
あれ…
何で一緒に入っているんだろう…。
しかも、杏寿郎に後ろから抱きしめられる感じで。
泰葉の左肩に杏寿郎の顎が置かれ、そこで喋られるとザワザワと心が浮き立つ。
先程まで一糸纏わぬ姿で交わっていたのだが、恥ずかしくて杏寿郎の姿を見ることができない。
さっきは暗がりだったが、ここでは明かりがついている。
泰葉がまっすぐ前を見てドキドキと脈打っていると、答えがないことを不思議に思った泰葉に、杏寿郎が少し覗くようにして「泰葉さん?」と声をかける。
「ひゃんっ!!」
耳元で名前を呼ばれ、その時に息がかかる。
泰葉は思わず声を上げ、耳を手でバッと覆った。
左を見ると、キョトンとした杏寿郎。
杏「よもや…。こんなに敏感とは思わなかった。」
杏寿郎はまた悪い笑顔を見せる。
「え…だめよ、もう今日は…」
杏「あぁ!今日はもうしない!しかし、泰葉さんのその反応がもう少し見たい!」
そう言った杏寿郎に耳元や、首に息を吹きかけたり、どこが感じやすいのかを調べ尽くされた。
「ちょ!もう、いやー!!!」
泰葉が色んな意味で逆上せたのは言うまでもない。