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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第35章 誕生日 ❇︎



5月10日

朝を迎えた。


泰葉が離れから出ると、珍しく杏寿郎と千寿郎が揉めていた。


杏「俺が泰葉さんを送っていこう!」

千「いえ!朝は僕が送ります!兄上は休んでてください!」

「あ、あのっ」

泰葉が声をかけても聞こえないようだ。


杏「兄が家にいないときは千寿郎に頼む!しかし、今日は家にいる!だから兄が行く!」
千「いいえ!今日は家にいてください!僕が行きます!」


千寿郎が一歩も引かない。
こんな珍しい姿、何か理由があるに違いない。
今日は杏寿郎の誕生日。
もしかしたら用意したいものでもあるのかも?


「あの!…おはようございます。」


泰葉は大きめに声を掛けた。
その声にようやく泰葉がいる事に気づいた2人。


杏「泰葉さん!おはよう!!」
千「あ、おはようございます!!」

泰葉は千寿郎の腕を組んだ。

「杏寿郎さん、朝は千寿郎くんと行きます!
…お迎えは杏寿郎さんが来てくださいますか?」

上目遣いで杏寿郎を見る。
まさか泰葉から千寿郎がいいと言われると思っていなかったからか、目を見開いて固まっている。

杏「なん…」

何でとでも言おうとしていたのか。
言い終わらないうちに杏寿郎に駆け寄り、腕をぐいっと引く。
傾いた耳元に近寄り

「それに、千寿郎くんが怒ってしまったら、今夜離れに行かせてもらえないかもよ?」

と、囁いた。

杏「!!!それはいかん!
…分かった!千寿郎、送りは任せた!!迎えには兄が行く!!」

千「……?
は、はい!それでお願いします!!」


こうして兄弟の揉め事は治った。



その後、朝食を済ませて、千寿郎と蝶屋敷へと向かう。
2人で出かけることはなかったので、ちょっと不思議な気分だ。


千「朝から揉めてすみませんでした。」

千寿郎が眉を下げて笑う。

「何か理由があったのでしょう?」
千「今日、兄上の誕生日だってご存知ですか?」
「うん、一昨日聞いたの。」
千「一昨日…。毎年兄は自分の誕生日などいいと言うんです。
でも、今年は父上とも、泰葉さんとも迎えられる誕生日だから…何かしてあげたくて。」

やっぱりそうだったんだと泰葉は頷いた。




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