第30章 太陽の瞳
翌朝。
し「おはよう。体調はどう?」
しのぶが泰葉の部屋へとやってきた。
「体調は…大丈夫。
でも、流石にあれから眠れなくて。」
寝溜めというものは存在しないというが…あれは本当なんだな、と実感した。
やはり寝ないと次の日には少し怠さが残るものだ。
し「ふふっ、そんなに刺激的だったんですか?」
「刺激的というか…衝撃的というか…。
って!しのぶさん、揶揄わないで!」
もう!と、怒る泰葉を、クスクスと笑うしのぶ。
しかし、こんな楽しい話を放っておかない人物。
ダダダダダ…
コンコン
蜜「失礼します!!!」
蜜璃が鼻息荒く、部屋へとやってきた。
蜜「泰葉ちゃん!おめでとう!聞いたわよ!!」
目を丸くする泰葉としのぶ。
蜜璃は泰葉のところに飛んできて、両手をガシッと掴み目を輝かせる。
蜜「煉獄さんと、恋仲になったんですってね!!」
「えっ、どうしてそれを⁉︎」
し「だって、女の子って共有したいじゃないですか。」
犯人はしのぶ。今日の朝早く、蜜璃に話していたのだ。
蜜「それに、適合者でもあったんでしょう⁉︎凄いわ!素敵だわぁ〜!!」
それはもう蜜璃の目はキラキラしていて。
泰葉には眩しいくらいだった。
「ね、本当にこんな都合の良い話があって良いのかなって思ってる。」
蜜「いいのよ、いいのよ!
きっとそうなるべくして、泰葉ちゃんは煉獄さんの前に現れたんだと思うの!!」
あの日、あそこで杏寿郎に出会わなければ…
戦っているのが杏寿郎と分からなければ…
この出来事は変わっていたのだろうか。
「そう…なのかな…。」
偶然と偶然が重なり合った時、それは必然に変わる。