第25章 温泉
ひょっとこの面の人に案内され、蜜璃と泰葉は旅館のような一室に通された。
「わぁ、こんなに良いお部屋を使っていいのかしら?」
蜜「ね!すごいわよね!いつも素敵なお部屋を用意してくれるのよ!
そして、温泉もあるし、ご飯も美味しいし!」
泰葉は、ここはもはや観光地なのではないかと思った。
荷物を下ろし、浴衣に着替えた泰葉達は早速温泉へ行くことにした。
手ぬぐいなどを持ち、部屋にあった下駄をカランコロンと鳴らしながら歩いて行く。
蜜「自然豊かで、景色も素敵よね〜」
「うん、本当に観光地なんじゃないかなって思っちゃった。」
そんな事を言いながら歩いていると、
『泰葉〜!』
と、呼ぶ声がした。
振り返ると…
「無一郎くん!!」
駆け寄ってきたのは無一郎だった。
長い髪を揺らしながら走ってくる。中性的な可愛い顔だ。
嬉しそうに微笑むのも愛らしい。
そんな事を思っていたら、突然バフっとした衝撃と共に視界が真っ暗になった。
「わぷっ!!」
無「泰葉!会いたかったよー!」
泰葉は無一郎に抱きしめられ、胸元で視界が奪われたのだ。
普段見せない無一郎の姿に、蜜璃も両手を広げて待っていた。
しかし…
無「えっ…と。」
蜜「こ、恋柱の甘露寺蜜璃ですっ!!」
落ち込む蜜璃。
やはり、無一郎はすぐに忘れてしまうらしい…。
気を取り直して、温泉へと向かう。
蜜「無一郎くんの刀は時間がかかりそうなの?」
無「僕の刀は…誰だっけ。
打つ人が変わったとか…?」
泰葉はこんなにも色々と、忘れてしまうのは不便に感じることもあるのだろうな…と思った。
今までどんな暮らしをしてきたのだろうか…。
しかし、聞いたところで忘れてしまっているのだろう。
やはり、これからは楽しいことが多くあって欲しい。
「温泉楽しみだなぁ。
無一郎くんは髪の毛長いけど…髪の毛は束ねるの?」
女性は大体束ねて上にあげていることが多いと思う。
しかし、男性はどうなのだろう?
無「髪を洗うときにには面倒だから下ろしたまま入るよ。
でも、洗わないなら…纏めてあげるかな。」
へー…と頷いていると、無一郎の手が泰葉の腰に回される。
無「泰葉、気になるの?
…なら、見せてあげようか。」