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太陽の瞳 【鬼滅の刃】

第2章 無限列車



東京駅。

袴姿の女が1人。
小さな手提げの中を確認する。
切符はある。
あとは時間になったら乗り込むだけだ。

育ての母から見合いの話を持ち込まれ、
その話をしに、故郷へ帰るのだ。

女、泰葉の年齢は25歳。
17歳頃から見合いの話をされているが、全て断り続けていた。

言い寄られる事は良くある。
しかし、興味も湧かない。
そんな状態で、親が決めた人となど愛を育むなんてできる気がしないのだ。しかし、親は良かれと思って見合いの話を持ってくる。
25歳など、この大正の時代では売れ残りなのだから、諦めて欲しい…。

はぁ。


なんだか、先のホームで騒がしい。
「刀を持っているぞ!警官だ!警官を呼べー!」

…刀を持っている人がいたらしい。
この時代刀は御法度になった。
まだ刀に誇りを持っている人がいらっしゃるのね…。
泰葉は嬉しくて目を細くする。
育ての両親も刀を持っていた。
居合斬りをする姿はカッコ良かった。
御法度になってからは、飾り物になっているのがもったいない。

…まだ時間があるな。
今回の移動は夕飯時も挟むため、駅弁を買っていくとしよう。
泰葉は売店まで移動する。

んー…色々あるものだ。
「多すぎて選べないな…」

牛鍋弁当…美味しそう。いや、こちらの魚の方が良いかな?
悩んでいると、隣にも駅弁を買う客が来た。

「む!こんなに沢山の種類があるとは!」

独り言とは思えない声量だ。
ビクッと身体を震わせ、その声の持ち主を見る。
そして目を見開いた。

そこには全体的には金色で所々毛先に向かって緋色に染まる髪。
黒い学生服のような服を身につけ、白地に下に向かって炎を模したような色と形の羽織を纏っている。
真っ直ぐに弁当達を見ている目は、歌舞伎役者かと思うほどカッと開いていた。

何とも派手な出立ちで、この声量。
俳優さんかしら?
それとも異国の方なのかしら?

そして、まだ驚くことがあった。

「うむ!こちらの牛鍋弁当というものを11個いただこう!」

…は⁉︎
11個?この方は沢山の仲間と来ているのか…。
学生服のようだし、学生旅行ででも来ているのかもしれないな。

でも、店員さんも驚いている。
沢山売れたことで嬉しいのと、今日の牛鍋弁当は終わりだという慌てで、てんやわんやしている。

え?今日の牛鍋弁当…終わり?

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