第24章 刀鍛冶の里
杏寿郎は軽くショックを受けていた。
刀鍛冶の里は、温泉もあり食事も美味しい。
刀が使えないので、鬼殺隊にとっては軽く旅行地という感じだ。
泰葉と行けたら良いなと思っていたが、なんせ一般人。
刀も所持しない。
なので、泰葉を連れて行くのは最初から無理だろうと思っていた。
…しかし、お館様が許可されたとなると。
杏「俺は何故一応でも確認しなかったんだ…。」
と、独り言を漏らす。
「どうしました?」
杏「いや、何でもない!甘露寺と行くなら安心だ!
2人でゆっくりしてくると良い!」
泰葉は杏寿郎の言葉ににこりと笑う。
「やはり、良い所なのですね!
無一郎くんも今日から行っているようなので、あちらで合流しようと話していたんです。」
無一郎と聞いて、杏寿郎はピクリと反応した。
杏「な…時透も行っているのか…?
そちらで、甘露寺と時透と過ごすのか?」
「え、えぇ。恐らく…。」
(杏寿郎さん、無一郎くんと何か話したいことでもあったのかな?)
「無一郎くんに何か…?」
杏「…いや、何でもない。大丈夫だ。」
と、言いつつ、杏寿郎は大丈夫では無かった。
無一郎は14歳。無一郎が泰葉に気があったとしても11歳も離れている。
流石に恋愛対象にならないだろう。
しかし、宇髄邸でのあの様子。14歳らしからぬ積極性だった。
これは、温泉や食事などを介してグッと距離を縮められてしまうのではないだろうか。
そうなれば、歳の差など関係ないと泰葉の心も傾いて…
杏寿郎は冷や汗をかいた。
「杏寿郎さん?なんだか様子がおかしいですが…?」
杏「ちなみに何だが…
泰葉は時透の事をどう思っているんだ?」
杏寿郎の突拍子のない質問。
「んー…そうですね。かわいい子だなと思います。
記憶が無くなってしまうそうですが、昨日も私の事を覚えていてくれました!」
杏「そ、そうか!」
杏寿郎は欲しかった回答では無かったが、嬉しそうに話す泰葉にそれ以上は聞けなかった。
杏「とにかく、ゆっくりしてきてくれ!
そして金崎には注意をする事。俺からも胡蝶達には話しておこう。」
杏寿郎は泰葉の手を握った。
「はい。ありがとうございます。」
泰葉がそれに微笑んだ。