第23章 危険
杏寿郎は泰葉から身を退き、手を差し出す。
泰葉はその手を取り、引き起こされた。
杏「…すまなかった。
君がもし男に襲われたら抵抗できるのが知りたかったんだ。」
「…そう、だったんですね…。」
杏「ちなみにこれは俺だからか?」
「え…」
杏「俺は泰葉さんに手を出す事はないとでも?」
泰葉は戸惑った。
自分が抵抗できなかったのは、杏寿郎だったからか…。
本当に抵抗ができなかったのか…。
杏「…いや、意地悪を言ったな。
どうやら、泰葉さんは鬼に対しては戦闘能力を出すことができるが、人間に対してだと、すぐには出ないようだな。」
…とすると、やはり甲ほどの実力を持った金崎が万が一襲ってきた場合、抵抗する前に拘束などされてしまうだろう。
杏「泰葉さん、金崎が来ておかしな事を起こされた場合はすぐに胡蝶に知らせる事。
俺は金崎について宇髄にも探ってもらうよう頼んでみる。
どうもあの男は何かがおかしいからな。」
泰葉は杏寿郎の言うことに頷いた。
杏「そして、何度も言うが鬼殺隊にいるからと言って、聖職者の集まりではない。それは頭に入れておいてくれ。」
「…はい。」
申し訳なさそうに肩を下げる泰葉。
杏寿郎は泰葉の頭に手を置いた。
杏「俺の目の届くところでは必ず泰葉さんのことを守ろう。
だから、そこまで気を病まないでくれ。
…しかし、そうすると明日からだな…。」
杏寿郎は明日から泰葉の身を守るには…と考え始めた。
そんな杏寿郎を見て、泰葉は口を開いた。
「あ、あの、私明後日から、刀鍛冶の里に行く予定でして!」
杏寿郎は目を丸くする。
聞き間違いなのかと思った。
杏「泰葉さんが…?
刀を持たないのにか?」
「はい…蜜璃ちゃんと行くんですけど、しのぶさんと蜜璃ちゃんの話ではお館様が許可してくださったそうです。」
杏「よもやよもやだ…」