第19章 行き違い
杏寿郎は目を見開いた。
杏「それは、本当か⁉︎」
杏寿郎は立ち上がり急いで着流しに着替えた。
そして急いで居間へと向かう。
襖を開けると、そこにはお茶を淹れている泰葉がいた。
あぁ!やっと会えた!
杏「泰葉さ…」
ガシッ
「杏寿郎さん!体調はいかがですか⁉︎」
杏寿郎の声を遮り、泰葉が杏寿郎の腕をガシッと掴み心配そうな顔で見ている。
杏「た、体調…?」
杏寿郎には覚えがなく、戸惑っていると
千「し、食欲が落ちていたんですよね!
ねっ!兄上!!」
慌てて合わせろと言っているような千寿郎の動きを汲み取った杏寿郎。
杏「そ、そうなんだ!
最近、疲れてきてしまったのだろうか…!」
「疲れはなるべく、溜め込まないように休むときにはちゃんと休んでくださいね!」
杏「あ、あぁ!そうだな!善処しよう!」
あんなに会いたかった泰葉が目の前にいる。
それだけで、舞い上がってしまいそうだった。
思わず抱きしめてしまいそうだが、槇寿郎も千寿郎もいる事もあり、グッと抑えることができた。
泰葉は杏寿郎が思ったより元気そうで安心した。
「蜜璃ちゃんと、スイートポテトと言うお菓子を作ってきたんです。
でも、もう少し落ちついた方がしっとりして美味しいみたいなので、夕食の後にでも食べてみてください。」
杏「む!甘露寺から以前もらったことがある!
さつまいもを潰して丸めたようなアレだな!」
杏寿郎の説明は間違えてはいない。
しかし、大雑把すぎる例えに思わず笑ってさしまった。
「ふふっ、そうです。」
そして、泰葉はガサゴソと紙袋から細長い箱を取り出した。
杏「それは…?」
嬉しそうに、箱の包みを解いていく。
「私の好物です。」