第10章 覚醒
堕姫が動いたことにより、纏められた帯はピンっと張り詰めた。
そして動けなくなった、堕姫の間合いに素早く入り込み
頸を斬っ…
『息をして、お兄ちゃん!!!!』
炭「ゲホッゴホッ…」
炭治郎は血が混じった咳をした。
炭治郎は体力に限界がきてしまった。
強い怒りに任せ、戦えたとしても人間なので体力には限りがある。
そして、息をしなかったことにより、命の限界も越えかけた。
もちろん、越えてしまえば死んでしまう。
堕「惨めよね。どれだけ頑張っても所詮その程度。」
堕姫は帯を炭治郎に向けた。
泰葉は炭治郎の危険を察知する。
「炭治郎くんが…危ない…」
泰葉は立ち上がる。
少しフラつきはするが、まだいける。
「着物…重い。」
遊女の格好をさせられていたため、幸いにも斬撃をそこまで深く、受けることなく済んだのかもしれない。
しかし、とても重い。
泰葉は、着物を脱ぎ、襦袢姿になった。
白い襦袢は胸元と、太もも辺りが斬られてしまい、普通ならば人に見せられないような格好だ。
それに、今はそんなことは言っていられない。
「遊女の格好で良かったのは脱ぎやすいってところね。」
堕「お返しに、アンタも頸を斬ってやるわよ」
堕姫が帯を振り落とそうとした時、
堕姫の体に2本の蹴りが入った。
1つは泰葉のもの。
もう一つは…
「ヴー、、ヴー、」
禰󠄀豆子だった。
メリメリと、音を立てながら少女の身体から、成人女性の身体へと変貌を遂げる。
額からは角まで生えていた。
「ね、ねずこ…ちゃん?」
泰葉は炭治郎から、禰󠄀豆子の話は聞いていた。
しかし、目にするのは初めてだ。
人間の体には限界がある。
では、鬼の禰󠄀豆子ならば?
怒りに身を任せた場合、
いつまでも戦い続けるだろう。
相手の肉体が消えて無くなるまで…