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今夜は帰れない HQ裏短編集

第1章 先輩至上主義 赤葦京治


「で、誰に怒ってたの?」

帰ろうという問いかけを無視し、質問をぶつける。

「先輩に言う必要ないですよね?」

「特別サービス。バレー部内でしたら茉莉様が懲らしめてあげましょう」

「余計なお世話です」

折角の優しさも冷たくあしらわれる。可愛げのない後輩だ。

「じゃあ何で赤葦は一人で残ってたの?木兎たちは?」

「帰りました。茉莉先輩が来る、十分前くらいに」

「何で一緒に帰らなかったの?」

「……ここにいろって言われたんです。お節介な先輩に」

「へ?」

「なんで、気づいてくれないんですか?」

赤葦の手が、私の頬に触れる。

「ちょ、え……?」

ゴツゴツしてるけど、トスを上げる繊細な手。それはとても、熱かった。

「先輩、赤くなってます」

「あ、赤葦の手が熱いからだよ」

「それだけじゃないと思います」

「そ、それより離してよ!は、早く帰、んっ……」

ちゅっと、唇に何かが触れた。

視界が狭まる。触れたものが唇だと気づいたのは、赤葦の顔が遠ざかった時。

「な、な、な……!」

「茉莉先輩、もしかしてこういう経験ないんですか?」

「そういうことじゃないでしょ!こ、このチャラ男!」

「もう一回ですか?」

「誰がんなことを」

文句はまた、キスでふさがれた。

手と違って柔らかい唇が、私の唇に食い込む。

「んっ……茉莉先輩……」

ふにっ。

「ちょ、どこ触って!」

「何で制服着てるんですか?」

「学校だからよ!」

「脱いでください。触りたいんで」

や、やっぱりコイツ疲れているんだ……!

止めようと、全力で抵抗しよとした矢先、赤葦の右手がワイシャツのボタンをはずし、下着の間に侵入した。

「んっ……やっ……!」

「気持ちい、ですか?」

「や、やめ……」

「やめて欲しいなら、そんな顔しないで……。もっと、欲しくなる」

空いていた左手で抱き寄せられる。すぐそばにある赤葦の顔は、いつもと違った。

心臓がうるさい。きっと、私も疲れているんだ。うん。そうに決まってる。だから、赤葦がカッコよく見えているんだ。

赤葦の膝の上に乗せられた私は、彼から目を逸らすのに必死で、その右手からも目を逸らしてしまった。


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