第1章 君が私の煇。

．

｢……雪奈は、悟の事が好きなの？」

｢………ん？」


突拍子も無く夏油が口を開き
ビックリした私は変な声が出てしまった。


｢いや、正直それくらいしか私に言ってくる
相談事が思い浮かばなくてね…。
もしそうなら可能な限りサポートするけど」

｢違う違う！悟はタイプじゃないもん」

｢じゃあ、何かな？」

｢あ、あー…ええっと…」


夏油がジッと私を視線で捕らえている。
貴方の事で相談なんです、なんて言えない。

そうだ。
遠くにいる友達の話しとして話そう。


｢あのね、遠くに住んでる友達の話しなんだけど
全然気にしてなかった男の子を気になる様に
なっちゃったみたいなんだけど、
そういう時って男の子はどうきて欲しい？」

｢ふむ……
その男の子と女の子がどういう感じなのか
わからないけど、私は女の子からきてくれたら
嬉しいと思うけどね」

「え、意外！
夏油って自分からガンガンいきそう」

「まあ、行けそうなら行くけどね。
駆け引きも大事かなって」

「なるほど…じゃあそう言ってみるよ」

「……その友達は雪奈本人だったりする？」


凄く鋭い目で夏油が私を見る。
蛇に睨まれたカエルかの如く、動けない。
この夏油の目に、私は弱いんだと思った。

顔が熱い。多分、真っ赤になってるかも。


｢ハハハ、凄く顔が赤いよ。
雪奈に思われてる男の子は幸せだね。
こんなに可愛い子に想いを寄せられてるんだ。
大丈夫、雪奈なら上手く行くよ」

．