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恋い慕う 短編集

第5章 初恋[不死川実弥]※裏


昼休み窓の外を見ると男子達がサッカーをして遊んでいる
その中に一人目立つ少年がボールを蹴っているのをりょうは見逃さない

「なーに見てるの?」

友達のカナエがりょうの隣に来て一緒に窓から顔を出す

「あー、不死川くん?」
「うん」

すると不死川が此方に気付いたのか小さく手を上げてくれる
それに応えるようにりょうはひらひらと手を振った

りょうと不死川は学校でも割と有名なカップルだ
勉強もできてスポーツも万能な彼に一目惚れしていたらまさかの彼から告白をされて見事付き合うようになった

「はぁ〜」
「どうしたの?ため息なんかついちゃって」

幸せなのだ
幸せなのだが、恋人としての進展がないことにりょうはやや不満を感じていた

「大切にされてるんだろうなっては思うんだけどさ」
「もしかして...まだなの?」
「キスは愚か...そっちの方なんてもってのほかで」
「うっそ!不死川くん手が早そうなのに!」
「なにその偏見!?そんなこと全くないよ!」

ここ最近やっと手を繋ぐようになったくらいで、それ以上の進展がなかった
自分に魅力がないのかとさえ思うようになったりょうは不安だった

放課後、図書室で本を探して不死川がくるのを待っていると背後に誰かが立ったのがわかる
振り向くとそこには不死川がいた

「あ、」
「よぉ。遅くなって悪かったな」
「ううん、大丈夫だよ」
「行くか」

そう言って図書室を出ようとする不死川の手を握り引き留めた

「ん、どうした?」
「あ...ごめん、なんでもないの」

ぱっと手を離し顔の横で手を振る

本当は不死川がどんな気持ちなのかを聞きたかった
しかし、それを聞く勇気がなかった

「なにか隠してんだろぉ」
「そんなことないよ!」
「顔にでてんぞ」
「え!?嘘ぉ!?」

頬を両手で挟み驚くりょう

「言ってみろよ」

不死川は優しい口調でそう言った
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