I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
椿木さんの作ってくれたケーキを美味しく頬張りながら、互いの顔を笑い合って、写真を撮り合ったり、他愛もない話が弾めば、あっという間に時間は過ぎていき、それぞれが帰路へと着いた。
椿木さんと俺は一緒に洗い物を終わらせた後、リビングのソファで椿木さんの淹れてくれた紅茶を飲みながら一息つく。
ルナとマナははしゃぎ疲れたのか、椿木さんのベッドで気持ちよさそうに眠っているようだった。
「はぁ~、嵐が去ったみたい。みんないると賑やかでいいね!」
「ハハッ、あいつらいるとうっせぇうっせぇ。」
2人で今日の出来事を振り返っては笑い合う。
「…でも、あんなに盛大に誕生日祝ってもらうのなんて初めてかもな。それに、シフォンケーキって言うの?紅茶味のケーキなんて初めて食ったけどめっちゃ上手くて感動したわ。あれだけの数の料理作んのもすげー大変だっただろうし………ほんと色々ありがとうな、椿木さん。」
俺がそう言ってしみじみと感謝を伝えれば、椿木さんは嬉しそうに笑った。
「…実はね、タカちゃん。まだ渡してないプレゼントがあるんだよ?」
「え、まだ何かあんの?」
「うん、ちょっと待っててね。今取ってくる。」
そう言って椿木さんは自室に戻ると、何やらラッピングされた袋を抱えて戻ってきた。
「開けてみて?」
はにかむ椿木さんに言われるまま、袋のリボンを解けば、ずっとほしいと思っていたシャネルのデザインブックと、クロスモチーフのイカしたリングピアス、それから『HappyBirthday Takachan!2004.06.12』と表紙に書かれた一冊のアルバムのようなものが姿を現した。
気になってページを捲れば、見開き1ページずつに、手芸部一同や東卍メンバー、ルナとマナ、椿木さんからの直筆メッセージカードと思い出の写真達が挟まっていて、俺は驚く。
そして、1ページずつ、添えられたメッセージや写真をゆっくりと眺めていけば、自然と笑みがこぼれた。