I don’t want to miss a thing.
第1章 …I'll be there for you.
「そりゃ、俺の凛子が可愛すぎるから。」
「…………。」
「…ん、どうした?」
そして、俺がそう言って濡れた手をタオルで拭いていれば、大きく目を見開いてこちらを見つめる椿木さん。
徐々に顔を真っ赤に染めていく様子が、可愛くて、俺は悪戯に椿木さんの顔を覗き込む。
そうすれば、
「……………もういっかい。…今のもういっかい。」
なんて、泡が残る細くて小さな人差し指を立てて、小さな声で可愛くこちらにねだってみせる椿木さん。
「ハハッ、また今度な。…俺の凛子ちゃん。」
俺は小動物みたいな彼女の姿にニヤリと笑みを一つ。
顔を真っ赤に染めて悶絶してる椿木さん、もとい、やっとこの手に入った照れ屋で可愛い俺の天使。
そんな彼女の頬をそっと押さえて、優しくキスを一つ落とせば、
「あー!お兄ちゃんと凛子ちゃんがチューしてるー!!!!」
「チュー!!!」
なんて、ルナとマナの大きな声が響いた。
「え!?!?2人ともいつからそこに!?!?」
2人の突然の声かけに驚いた、椿木さんは咄嗟に俺から飛びのく。
「いやぁ、バレたか~。お前ら、母ちゃんには内緒な!」
幸せな2人の声が、俺達の狭くて古いボロアパートに明るく響く。
いつだって、椿木さんがそこにいてくれる。
たったそれだけで、俺の心は温かく満たされていく。
別に多くは望まないから、
たった君だけ、君だけが俺の傍にずっといてほしい。