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あなたとの約束

第2章 始まり



「ヒロ…」

ヒロ「俺の前で初めて泣いたんじゃないか?いつも笑ってくれてたからさ。」

「黙って。今、助けるから!」

ヒロ「無理だよ、分かってるだろ?こんなに出血してるんだ。」

「それでも…!」

ヒロ「こんなおじさん、もう忘れてくれよ。」

「それは出来ない。」

ヒロ「頑固だなぁ。みるくは。」

「ヒロのせいで人間らしくなっちゃったんだよ。」

ヒロ「そりゃあ、光栄なことで。」



限界が迫ってる。ただでさえ、かなりの出血量だ。
話が出来ているのが不思議なくらいいつ死んでもおかしくない状況。
それでもみるくは救おうとする手をとめない。



ヒロ「みるく、ほんとはずっと好きだったよ。誰よりも。」



ここで初めて手を止め驚いたような顔になる。
その表情は一瞬で崩れ、泣き顔を無理に笑顔へ持っていったような表情になった。


「ヒロ。ありがとう、私もよ。貴方だけを愛してる。」

ヒロ「みるくは笑った顔が1番いいよ。零(ゼロ)を頼んだ。」

「…任せて。お疲れ様。おやすみなさい。」



安心したようにヒロは目を閉じた。
そのときバーボンが走り込んできたため、みるくはヒロから離れ物陰に身を隠す。
バーボンが叫ぶ声が聞こえるが、みるくはぼんやりとしていた。
その場にいたライは何も言わず、しばらくしてバーボンは立ち去った。



ライ「初めて見る顔だが、組織の人間だな?君は誰だ?」



みるくは先程まで泣いていたとは思えない弾けた笑顔で返事をする。



「私はあなたを知ってるよ、FBIの赤井秀一さん。何で彼に本当の事を話さなかったの?」

秀一「…本当のことをいえば彼は壊れてしまうだろう?」

「そうだね。バーボンは脆いから。私がいたことを言わなかったのは?」

秀一「NOCのために涙を流した君を敵だとは思えなかった。」

「優しいんだね。やっぱり情報だけじゃなくて自分で会わないと誤解しちゃうね。」

秀一「で、君は誰なんだ?」



敵だと思えないとは言ったものの、やはり警戒はしているようで声には緊張が走っていた。



「私は来栖 みるく。本名だよ。この身体の傷は組織にやられたわけじゃなくて義両親にやられたものだから気にしないでね。」
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