第51章 一途な総長は大人な彼女と幸せな愛に溺れて(❤︎)
「(ゴール見えた!!この距離じゃマリオはまだ追いつけない!勝ち確定かも!!)」
今度こそ1位を確信したカノトは喜びが抑えられず、口許がニヤけてしまう。
「やった!!これでゴー…」
その瞬間、ブォォォンッという物凄いスピードで何かが横切って行った。
「……え?」
そしてそのまま1位でゴールした。
「はいオレの勝ちー!」
唖然とする隣でマイキーが嬉しそうに笑い、勝利を喜んでいる。
「(な、何で…!?)」
意味が分からず、困惑顔を浮かべる。そこでハッとしたカノトは、ゴール寸前でキノピオの横を何かが物凄いスピードで横切って行った事を思い出す。
「あれ…マリオだ。そういえば…マリオの体、光ってた。まさか万次郎くんが最後に引いたのって…」
「やぁ〜あそこでスター引いちゃうオレ、やっぱ持ってるわ〜!」
「(スター……)」
そう、マイキーがあの土壇場で引いたアイテムは…一定時間無敵状態となり、加速力・最高速度が上昇する【スター】だった。
「(悔しい!!まさか最後で無敵アイテムを引いちゃうなんて…!!)」
「随分悔しそうだなカノ?さっきまで絶対に1位取るって余裕こいてたクセに、最後の最後であっさりとオレに抜かれちまうなんてカワイソーw」
「ぐぬぬぬ…!」
「だから言ったろ?ぜってーオレが勝つって」
ニヤリと笑うマイキーに悔しさが止まらず、コントローラーのスティックを親指でぐりぐりと捏ねくり回す。
「絶対いけたと思ったのに…!」
「その油断が命取りになったな」
「むぅ…このまま負けっぱなしは嫌です。リベンジしてやります!もっと練習して上手くなって、次は絶対に万次郎くんに勝ちますから!!」
「…………!」
当たり前のように"次"を口にしたカノトに、マイキーは眉を顰め、表情を沈ませる。
「……………」
「万次郎くん?どうしました?」
「…お前に"次"なんてねーじゃん」
「え?」
「どんだけ練習して上手くなって、オレに勝ったところで…その時のオマエは未来に帰っちまっていねぇんだから」
「それは…」
マイキーの冷たい言い方に、戸惑ったカノトは、返答に困ってしまう。
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