第51章 一途な総長は大人な彼女と幸せな愛に溺れて(❤︎)
「チッ…」
隣で不穏な舌打ちが聞こえたが、無視して攻撃アイテムが当たったことを喜ぶ。
「ふふん!残念でしたね万次郎くん!今回勝つのは私みたいです!ミドリこうら発射!!」
後方で走っているマリオに向けてミドリこうらを発射させた。するとカートに乗っているマリオは派手に転倒する。
「あ!?」
その間も続々とCPUキャラがマリオを追い越し、せっかく2位だった順位が5位にまで降格してしまう。
「ふふ、マリカー面白い!」
「……………」
「このゲーム好きになりそう♪」
「……へぇ。」
「(あれ?万次郎くんの声が低く…?)」
「随分調子いーじゃん。でもまだゴールしたわけでもねーのに喜び過ぎじゃねえ?」
「(万次郎くんの目が据わってる…)」
「そのまま走ってろよ。すぐに追いついてマジで泣かせてやっから」
「(怖っ!?)」
残り半分でゴール出来るカノトはマイキーの静かな怒りに怯えながらも、このまま1位を狙うことに決めた。
「(あともう少し…!)」
「見ぃーつけた」
「早…っ!?」
「総長様を舐めんなよ?」
「(に、逃げなきゃ…!!)」
キノピオを操り、段々と距離を縮めて来るマリオから逃げ続け、ゴールまで突っ走る。そして最後のアイテムボックスが見え、キノピオが通過し、カノは祈る。
「(もう一度ミドリこうら出て…!!)」
けれど祈りは無駄に終わり、ボックスがランダムで選んだのは…【バナナ】。
「バナナ!?」
攻撃アイテムではなくトラップアイテムを引いてしまったカノトは絶望顔を浮かべ、仕方がないと思いながらすぐそこまで迫っているマリオを倒すべく、後方にバナナの皮を放り投げた。
「(踏んで滑って…!!)」
「悪ィけど踏んで滑るなんてヘマはしねぇから」
「嘘!?躱した!?」
マイキーは見事な指使いでスティックを操作し、地面に置かれたバナナの皮をミニジャンプでマリオに回避させた。
「跳べるなんて聞いてない!!」
流石のカノトも慌て始める。
「さーて…何が出るかな」
マリオも最後のボックスを通過し、何が当たるのかをマイキーは楽しそうに見つめている。
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