第51章 一途な総長は大人な彼女と幸せな愛に溺れて(❤︎)
「手加減しねーから」
「当たり前です。勝負で手を抜くのは相手に失礼ですから。本気で来てください」
「ぜってーオレが勝つ。負けて泣くなよ?」
「万次郎くんこそ負けても苛立ってコントローラー壊さないで下さいね」
雲に乗った審判のようなキャラが現れ、"お願い"を掛けた真剣勝負が幕を開けようとしている。
そして"3・2・1"とカウントダウンが始まり、スタートの合図で二人は同時にエンジンを全開で走らせた。
「(万次郎くんのお願いなんて大体想像がつく。だからこそ勝負に勝たなければ!目標は万次郎くんより先にゴールすること…!!)」
CPUである敵キャラとマイキーが操るマリオを抜かし、1位を死守する。キノピオは華麗なドリブルさばきを見せ、急なカーブも走り抜けた。
「初心者の割には上手いじゃん」
一瞬驚いた表情を浮かべたマイキーも負けじとスピードを落とさず、マリオを爆走させる。
「走りで負けんのはやだなー。だから早めにカノを追い抜いて順位を塗り替えねーとな♪」
ペロッと舌なめずりをし、楽しそうな顔で真剣な眼差しを向けるマイキーに嫌な予感が止まらないが、カノトは気にせずキノピオを操り、早々に一周目を1位で通過した。
「(この調子でいけばゴール狙えるかも!)」
「なぁカノ、コース上にある『アイテムボックス』何で使わねーの?」
「アイテムボックス?」
「そっか、初心者だったもんな。知るはずないか。あのアイテムボックスを通過するとランダムでアイテムが手に入んだよ」
「そうなんですか?」
「試しに取ってみ。んでもって…オレはそろそろオマエを追うことにするわ」
「え?」
親切な解説に感謝したのも束の間、マイキーの目つきが変わり、少し先を走っているキノピオの後を追いかけ始めた。
「(一気にスピードアップした!?ていうかどんどん後ろから近付いて来てる…!!)」
背後から迫り来る気配にビビりながらも、キノピオはコース上にあるアイテムボックスを通過する。
「(お願い!良いの出て!)」
くるくると回り続けるボックスが止まり、当たったアイテムは…
「あ!やった!」
【ミドリこうら】だった。
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