第51章 一途な総長は大人な彼女と幸せな愛に溺れて(❤︎)
「何回挑んでも勝てなくてさー。途中でイラついてコントローラー壊す寸前だった」
「壊したら完璧万次郎くんが三ツ谷くんに怒られてましたよ」
「つーワケで!オレと勝負しよ!」
コントローラーをゲーム機に繋げ、二人でソファーに座る。勝負する気満々のマイキーに対してカノトは少し不安げだ。
「勝負事で万次郎くんに勝てるわけないじゃないですか。卓球勝負でも完敗だったのに」
「そんなのやってみなきゃ分からねーだろ。今回はあの時と違ってマグレで勝てるかも知れねーじゃん」
「(マグレで勝てたらもう奇跡だよ…)」
自信のないカノトにマイキーが更に追い打ちを掛けるように言う。
「ただ勝負してもつまんねーし、負けた方は勝った方のお願い聞くこと!」
「尚更私が不利じゃないですか!」
不公平な条件に不服そうな顔で抗議する。
「ふーん。ならオレの勝ちってことでいい?カノに恥ずかしいお願いさせるけど勝負放棄するんだから文句ねーよな?」
「な、何でそうなるんです!?」
「だって勝負やりたくないんだろ?だったらこの勝負はオレの一人勝ちってことじゃん」
「(言ってることが理不尽すぎる…!!)」
「で?どーすんの?」
明らかに勝負すればマイキーが勝つだろう。けど何もせずに逃げるのは悔しくて、コントローラーをギュッと握る。
「やりますよ!こう見えて諦め悪いんで!」
「そーこなくちゃ♪」
画面にマリカーのタイトルが映し出される。操作は全てマイキーに任せ、カノトはそれを隣で見ていた。
「キャラ選択…。うーん…どのキャラで勝負すればいいんだろう」
「とりあえず好きなキャラでやってみれば?」
「好きなキャラ…」
十字キーを長押しすると画面の矢印も動き、キャラの選択が出来るようになっている。マリカー初心者のカノトは完全に見た目で選ぶ事にした。
「じゃこのキノピオさんで」
「ピーチ姫いくかと思った。オレはマリオにしよっと。んでコースはー…ランダムでいっか」
キャラの選択が終わり、コースもランダムで選ばれると、すぐにレーシングカート風の乗り物に乗り込んだキャラ達が、スタート地点に並んでいた。
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