第51章 一途な総長は大人な彼女と幸せな愛に溺れて(❤︎)
「たっだいま〜。からのー…ぎゅー!」
「わっ」
部屋に着くなり、マイキーは飛びつく勢いでカノトを抱き締めた。
「…やっと二人きりになれた。帰りもずっとカノに触れたくて、マジで電車の中で触ってやろうかと思った」
「(だからそわそわしてたのか…。)」
「ここまで我慢したオレを褒めて」
「よく我慢しましたね、偉いです」
労いの言葉を掛け、マイキーの背中に両手を回し、抱き締め返す。
「それだけ?ちゅーは?」
「ハグだけじゃ満足しませんか」
「ハグとちゅーはワンセットじゃん」
「そんなワンセットはありませんよ」
「カノがちゅー拒否った…」
ガーン…と効果音が聞こえそうな程、ショックな顔で落ち込んだマイキー。
「別に拒否ったわけじゃ…」
「じゃあ何でしてくんねーの?」
「(声まで元気なくなってる。)」
「カノに拒否られんの嫌いなのに…」
「万次郎くん…」
「もししてくんないなら…監禁する。」
「ちょっと今聞き捨てならない言葉が聞こえた気がするんですが」
視線を横に逸らしながら物騒な言葉を呟いたマイキーのか細い声をカノトは聞き逃さなかった。
「別に何も言ってねーけど」
「いや明らかに今、"監禁する"って言いましたよね?この距離で聞こえないとかあり得ないですから!」
「地獄耳だな〜カノは♪」
「笑って誤魔化さないでくれます!?」
問い詰めるも、マイキーは悪びれもせずニコニコと笑っている。
「まぁ今のところ本気で監禁する予定はねーから安心しろって❤︎」
「(何の安心もできない…)」
「それより早くちゅーしよ」
「……………」
相変わらず自由奔放なマイキーに振り回されるが、今は彼の我儘を優先することにした。
「屈んで下さい」
「ん。」
キスしやすいように少し身を屈んで、顔を近付けてくれる。未だに自分から口付ける事に慣れないカノトは頬を紅く染め、恥じらいながらも、目を瞑ってマイキーの唇に自分の唇を重ね合わせた。
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