第51章 一途な総長は大人な彼女と幸せな愛に溺れて(❤︎)
「んっ…これも美味い。つか全部美味いに決まってんじゃん。カノの愛がたっぷり込められてっから不味いわけねー」
「ありがとうございます」
照れながらもお礼を告げる。
するとそんな二人のやり取りを近くで見ていた男の子が、手に繋がれた母親を見上げながら言った。
「ねぇママ!あのお兄ちゃん、綺麗なお姉ちゃんにあーんしてもらってた!すごくラブラブなんだね!」
「あらまぁ本当ねぇ?すごく仲良しさんで羨ましいわねぇ」
「ボク知ってるよ!ああいうのを"そーしそーあい"って言うんでしょ?」
意外と声が大きかったのか、その親子の話は当然二人の耳にも届いていた。カノトは今までのやり取りを見られていた恥ずかしさで顔を赤くしている。
逆にマイキーは悪戯っ子の笑みを浮かべて、テーブルに肘を付けながらニヤリと笑った。
「そーそー。オレら相思相愛だもんなー?めちゃくちゃ愛し合ってる恋人同士だもんなー?」
「っ…………!!」
揶揄うようにマイキーはわざと声を張り上げる。すると男の子はキラキラとした眼差しで母親の手をグイグイと引っ張り、"やっぱり!そーしそーあいだった!ラブラブカップルだ!"なんて無邪気な笑みを浮かべた。
「もう万次郎くん!何を言い出すんです!」
「ん?本当のこと言っただけだけど?」
「本当だとしても大きいです、声が…!」
「顔真っ赤にしちゃってホント可愛いよな。今日もたくさんハート飛ばしてんの気付いてる?」
実際に肉眼で見えはしないが、今日会った時からマイキーから溢れ出ている何かがカノトの体全体にコツコツと飛んでくる。それがきっとマイキーの言うハートが飛んでいるのだろう。
「気付いてますよ…」
「本当に?」
「はい」
「カノもオレと同じくらいのハート、たくさん飛ばして好きって伝えてくれてる?」
「万次郎くんに負けないくらいのハートをすごく飛ばしてます」
「オレの方がひっきりなしに飛ばしてるけどな〜。だってほら、オレのオマエへの愛って激重だから❤︎」
「(ヤンデレ化が進みそうで怖い。)」
「今度はオレが食わせてやるよ」
マイキーからおにぎりとウサギの形をした林檎を食べさせてもらうのだった。
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