第51章 一途な総長は大人な彼女と幸せな愛に溺れて(❤︎)
「何が食べたいですか?」
「どれも美味そうで迷う。カノはこの中だったら何が食いてえ?」
「んー…タコさんウィンナーですかね。高校は給食がなかったのでお弁当はいつも兄さんが作ってくれていたんですが、たまに赤いタコさんウィンナーが入ってました」
「マドカさんって料理できんだ?」
「宮村の家を出て二人暮しになってからは料理はいつも兄さんが作ってくれましたね。美代子さんって言う宮村家の専属お手伝いさんから貰ったレシピノートを見ながら勉強したらしいです」
「へぇー意外だな。マドカさんって料理より掃除とかの方が得意だと思ってた」
「(まぁ掃除も出来るんだけどね。)」
「じゃあそれ食いたい。ていうかタコの足ってこんなくるんってなるもんなの?」
「切り込みを入れて焼くと自然と足が広がるんですよ」
カノトはタコさんウィンナーを爪楊枝で刺し、落ちないように片手を添え、マイキーの口許に近付ける。
「はい、口開けてください」
「ちゃんと"あーんして"って言ってくんねーとやだ」
「何ですかその可愛い我儘。
……あーんしてください」
「あーん❤︎」
パクンッとタコさんウィンナーを口を含み、もぐもぐと美味しそうに食べるマイキー。
「どうです?」
「美味い!」
「それは良かった。次は何がいいですか?」
「ハンバーグが食いたい。旗付きなんてテンション上がる。しかもこの旗手作りじゃん。カノが描いてくれたの?」
「東卍の旗をイメージして、黒をベースに金色のペンで"卍"を描いてみました」
「手先器用かよ。オレの為にここまでしてくれるとか愛しか感じねーわ。この旗持って帰ってケンチンに自慢したい」
「自慢するほどの出来栄えでも…」
感動の眼差しを向けられ、カノトは照れ笑いを浮かべる。
「すげぇ愛されてんね、オレ。カノの優しい愛がめっちゃ伝わってくる」
「万次郎くんの愛の重さには負けますよ」
旗付きの爪楊枝を取り、使い捨てのプラスチックのフォークを使ってミニハンバーグを刺し、マイキーの口許に運ぶ。
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