第51章 一途な総長は大人な彼女と幸せな愛に溺れて(❤︎)
「でも簡単なものですみません」
「何言ってんだよ、全然簡単じゃねーだろ。こんだけ作るのに結構手間暇掛けてるし、すげーって思うよ。つかほとんどオレの好物で感動した。写メっていい?」
「はい」
携帯を出したマイキーは嬉しそうに笑みを浮かべながら、自分のために作ってくれたお弁当をパシャリと撮った。
「あーどうしよ…やべえかも」
「どうしました?」
「めちゃくちゃ嬉しすぎてカノのこと今すぐ抱きしめてちゅーしたい」
「流石にここではちょっと…」
「ちゅーしたい」
「二回言ってもダメです」
「ちぇー」
押し切れば我儘が通ると思ったのか、二回目は強めに言ってみたが結局許可が出ず、いじけてしまう。
「それよりほら、食べましょう!」
「食わして」
「え?」
「カノにあーんしてほしいなー❤︎」
「……………」
ニコッと笑うマイキーのお強請りに、カノトは小さな溜息を吐く。
「自分で食べてください」
「ウサギにはあーんして食べさせてたじゃん。彼氏のオレにはしてくんねーの?」
「人が多いので」
「ンなのいちいち誰も見てねーって!」
「えぇ……」
「嫌そうな顔すんな傷付くだろ!」
無意識に顔に出てしまったのか、カノトの拒絶顔にマイキーは不貞腐れ怒る。
「もし拒否ったら…」
「拒否ったら?」
「大勢が見てる前で深いちゅーする」
「……………」
マイキーなら本気でやりかねない。もしカノトが拒否れば、腕を引き寄せられて不意打ちのキスをされそうだ。そうなったらもちろん周りにいる人達に見られるわけで…。
「…万次郎くんって、私に食べさせてもらうの好きですよね」
「より深く愛を感じられるからな♪」
「何言ってるんですかもう…」
「なぁ早く食べさせて!腹減った!」
待ちきれないのか、マイキーは急かすように口をパクパクと何度も開閉させている。
「こんな大勢の前でキスされても困るので…仕方ないから食べさせてあげます」
「カノのそういうこと好きだよ。必ず最後にはオレの我儘に折れてくれるもんな♪」
マイキーは嬉しそうに言った。
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