第5章 ミッション失敗…?
「別にいいけどね」
「(しまった…ガン見してた。)」
恥ずかしい…
「マイキーくん、当ててください!」
「オレを誰だと思ってんの?“当たる”に決まってんじゃん」
パンッ
銃から放たれたコルクが一直線に伸び、マイキーが宣言した通り、特賞に当てた。これにはオッチャンも驚きを隠せず、あんぐりと口を開け、ショックな顔を浮かべている。
「す…すごい!本当に当てた!」
「だから“当たる”って言ったじゃん」
「だってあの的小さいのに!」
「う、嘘だろ…特賞に…当てちまった…」
「あの…魂が抜けたような顔してますけど大丈夫ですか?」
「こんなガキに…当てられるなんて…」
「なぁ、当てたんだからもちろん特賞貰えるんだよな」
「くっ……。あぁ、わかったよ。特賞は…景品の中から欲しいやつ一つだけ持ってけ!」
悔しげな表情のオッチャンが、ババン!!と景品に手を向ける。
「マジ?」
「さすが特賞!」
「カノ選んでいいよ」
「当てたのはマイキーくんなのに僕が選んでいいんですか?」
「オマエのために当てたから」
「(今時の中学生って、こういう恥ずかしいセリフをサラッと言えちゃうんだ…)」
少し気恥しさを感じながらマイキーの厚意に甘えることにした。並べられてある景品を一つ一つ見定めると、ラベンダー色に水玉模様がついたガラス玉が目に留まる。
「(綺麗なピアス…。確か“とんぼ玉”とも言うんだっけ。)」
現代で付けているピアスは普通のシルバーピアスだ。1000円という安定の安さで購入したのだがそろそろ新しいピアスが欲しいと思っていたところだ。
「(でも今は中学生だし、それに男が可愛らしいピアスを選ぶのはちょっと…)」
諦めて他のを探そうとした時。
「ピアス欲しいんじゃねぇの?」
「どうして…」
「さっきからずっと見てるから」
「いや…中学生でピアスって。それにデザインも女の子が付けそうな感じじゃないですか…」
「三ツ谷とかは空けてるよ。デザインも別にオマエがしてもおかしくないじゃん。美人顔には変わりないんだし」
「…………」
「で、結局どれにすんの?」
「…あのピアスが欲しいです」
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