第5章 ミッション失敗…?
「そ、それじゃあ僕達はここで失礼します!おねえさん達もお祭り楽しんでください!」
「カノ早く!たい焼きがなくなる!」
「そんなすぐに無くなりませんよ…!」
慌ただしく人混みの中に消えて行った二人を茫然と見送る三人だったが、顔を見合わせ興奮気味に言った。
「ちょっと何あれやばい…!!」
「“まいきーくん”相変わらずカッコイイ!」
「振り回しそうな感じだけどそれをあの子が付き合ってあげてるのがポイント高い!」
「かっこいい系の“まいきーくん”と」
「かわいい系の“カノくん”」
「めちゃくちゃ推せる…!!!」
「はぁー…癒されたね」
「彼氏もできず女三人で何でお祭りに来てんだろって虚しくなったけど…」
「「「今日も推しカップルが尊い〜!!!」」」
そんな会話で三人が盛り上がっているとはつゆ知らず、カノトとマイキーはたい焼きを買い、美味しそうに食べていた。
それから二人はたこ焼きを食べ、りんご飴を食べ、ベビーカステラも食べた。
「ひとつを二人でシェアして食べるのいいですね」
「二つ買うとすぐ腹が満たされるからね」
「あ!マイキーくん!あれ!」
「どれ?」
「射的!」
二人は射的屋に立ち寄る。
「男二人で祭りか?珍しいな」
「悪い?」
「別に悪いとは言ってねーだろ」
手ぬぐいを頭に巻いたオッチャンにからかわれ、マイキーが淡々と言葉を返す。オッチャンもマイキーにジロッと軽く睨まれ、慌てて否定した。
「こういうのって本当に倒れんの?特にあの小せぇ特賞とか」
「あ?当然だろ。さっきのガキと言い、人が用意した景品にいちゃもん付けやがって!」
「(つけた人いるんだ。)」
「カノ、どれ欲しい?」
「どうせなら特賞狙いたいですね」
「だよな」
笑ったマイキーは代金を払ってコルクを銃につめ、狙いを定める。
「(…真剣な顔もかっこいいなぁ。)」
思わず見惚れていると…
「見すぎ。」
「!!」
その視線を感じ取ったマイキーが景品から目を離さないまま、ふと笑った。
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