第50章 最後のデート
「いつもと雰囲気違うよな。その服もオレの為に選んで着てきてくれたの?」
「はい。今までは外見の年齢に合わせて服を選んでいましたけど、今日は26歳の私として万次郎くんとデートしたかったんです」
「どうりで大人っぽいと思った。そのスカート、オマエの紫の瞳と同じ色だな。そんなの持ってたんだ?」
「お気に入りなんです。回って見せるとスカートの裾がふわっと拡がって、色も見える角度によって違うんですよ。素敵でしょう?」
「ウン、めっちゃ良い。脱がせやすそう。スカートの中に手を忍ばせてもバレないな」
「……………」
真面目な顔をして何を言い出すかと思えば、下心丸出しの感想が口に出ていた。それを聞いたカノトは冷めた眼差しでマイキーを見つめている。
「…そういう感想は求めてません。あとスカートの中に手を忍ばせてもバレます、私に。というかその為に履いてるんじゃないです」
「だってそんなえっちなスカート履いてたらオレに脱がして欲しいって言ってるようなもんだろ?」
「自分の都合の良いように置き換えないでください!あと普通に"可愛いスカート"ですから…!!」
「怒ってる顔もカワイイ〜❤︎」
「真面目に怒ってるんです!」
「ごめんごめん。流石に脱がせねぇって。脱がすならベッドの上で二人っきりになった時だけだからさ♪」
「どっちにしろ脱がす気じゃないですか…」
じろりと軽く睨んでも、マイキーはニコニコと楽しそうに笑っている。カノトは呆れた顔で溜息を零した。
「回った時に気付いたんだけどさ、髪って後ろで編み込みにしてんの?」
「そうですよ」
「もっとよく見せて」
後ろを向いてアレンジした髪型を見せる。
「すげー。どうなってんのこの髪型。しかも赤いリボンで結んである」
「ヘアゴムで留めた後にリボンで結んであるんです。これだと簡単に解けたりしないので」
「へえ。女の髪って色々アレンジ出来ンだな。エマもたまに結んでたけど、この髪型はしたことなかったし。触ってイイ?」
「どうぞ」
「お、ふわふわしてる。リボンもオレの色を纏ってる感じがして良いな」
壊れ物に触れるように、優しく指先で髪に触れる。揺れるリボンを見て、マイキーはふっと笑った。
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