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BRAVE You’re HERO【東リべ】

第50章 最後のデート



「あ、遊んじゃダメだよキャシー」



動く度に小さく揺れるスカートの裾が気になるのか、キャシーはゆっくりとした動作で、控えめの優しい猫パンチを当てる。



「普段は男装してるから男モノの服を着ることが多いけど、今日着れてよかった」



トップスはふんわりとボリューム感のある袖になっていて、色も白と相まって、華やかな女性らしさを際立たせる。そして配色スカートと合わせることで甘すぎず、オトナな雰囲気を感じさせた。



「いつもと系統は違うけど、この格好も可愛くて好きだな。未来の私じゃこんな可愛い格好は年齢的に厳しいもんなぁ」



「にゃあ」



「キャシー、今日の私、可愛い?」



「にゃあ!」



「ふふ、ありがとう」



愛猫のお墨付きをもらい、等身大の鏡の前でもう一度、今日のコーデを見て、自然と口許に笑みが浮かんだ。



「あとは髪のアレンジか」



ウィッグとリボンを持ち、洗面所に向かう。部屋のドアを開けっ放しで出ると、後ろからキャシーも後を着いてきた。



「うーん…髪型どうしようかな」



万次郎くんはどんな髪型が好きなんだろう?



『カノならどんな髪型でも似合う!可愛い!全部可愛すぎてちゅーしたい!』



「(万次郎くんだったら言いそうだな。本気で言ってるから余計にタチが悪い。実際に言われたら恥ずかしくて照れる。)」



洗面台からヘアオイルのボトルを手に取り、掌に適量垂らした後、毛束を手櫛で梳かすように髪全体を馴染ませ、顔の周りに細めの毛束を残して、作ったポニテをくるりんぱさせ、そこから編み込んでいく。



「最初は失敗したっけ」



初めて編み込みに挑戦した日、不器用さ故に上手く出来なくて、不格好な仕上がりになり、何度もやり直した経験を思い出した。



「何事も挑戦(リベンジ)が大事だね」



毛先を細いヘアゴムで留め、その上からヘアゴムが見えないように持ってきた赤いリボンで解けないようにキツく結ぶ。



「あとは指で軽くほぐして…出来た!」



上品×大人コーデの仕上がりに満足気に笑う。マイキーが夏祭りに射的で取ってくれた硝子玉のイヤリングを耳に付ける。



「夏祭り…懐かしい。あの頃はまだ万次郎くんの想いを受け入れられなかったっけ。今じゃ考えられないな」



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