第5章 ミッション失敗…?
「そんなキーンてなる?」
「なります」
「オレにもちょーだい」
「どうぞ」
カップを差し出すもマイキーは受け取らない。不思議に思って首を傾げる。
「あの…食べるんじゃ?」
「食べさせて♥」
「は!?」
にこりと笑うマイキーに衝撃を受け、驚いた顔を浮かべる。
「な、何言ってるんですか。こんな人が多い場所で男二人が食べさせ合いっこなんて出来るわけないでしょう…」
「みんな祭りに夢中で見てないって」
「そんな我儘が通用すると思ったら大間違いです。はい、カップ自分で持って食べてください」
「ヤダ。」
「ヤダじゃないです」
「カノが食べさせてくんなきゃ絶対に食わない」
「またそんなことを…」
「口移しで食わせろって言ってるわけじゃねぇんだし、食べさせてくれてもいいじゃん」
「あ、当たり前です!それこそ拒否りますよ!」
「カノに拒否られんのキライ」
「(ああもう…!!)」
言い合ってても埒が明かないと思い、かき氷を掬ってマイキーの口元まで運ぶ。
「は、早く食べてください…誰かに見られると恥ずかしいので…」
「えーオレは見られてもいいけど♥」
「マイキーくん…」
ジト目で軽く睨みつけると“ウソウソ”と笑い、カノトが差し出すかき氷を“あーん”と口を開けて食べる。
「まじで頭がキーンってなる…っ!」
「でしょう?」
片手で頭を押さえ、顔をしかめるマイキーにそう言い、もう一口食べた。
「(でも甘くて美味しい。)」
「カノさ、男同士だからいいけど、一回自分で使ったストローとか他の奴の口に入れさせんなよ」
「あ…そうですよね。確かに僕が口に入れたものを他の人の口に入れるのは嫌ですよね」
「じゃなくて」
「?」
「オマエが女だったらオレと間接キスしたことになんじゃん」
「かっ……っ!」
気にせず食べていたがマイキーに指摘され、ぶわっと顔が赤くなった。
「(今は男装してるけど実際私は女なわけで…ま、マイキーくんと間接キスしちゃった…!?)」
「そんなに照れる?すげー顔真っ赤。」
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