第5章 ミッション失敗…?
「(今日は楽しい一日になりそう!)」
私は浮かれてたんだと思う
まだ何も終わってなかった
私の人生で最も長いお祭りが
始まる─────。
✤ ✤ ✤
祭り会場に着いた二人が石段を上がり、鳥居を潜ると、提灯に照らされた下で様々な屋台が並び、お客さんを呼び込んでいる。
「(お祭りなんて何年ぶりだろう。病院勤めになってからは忙しくて行く暇なんてなかったけど…懐かしい!)」
カノトはキラキラと目を輝かせた。
「さてと…どこか見たい所ある?」
「どれも良くて何から見たらいいか…」
「なら全部見て回ればいいじゃん」
「全部ですか?」
「最初に言ったよオレ。オマエのこと、めちゃくちゃ楽しませる自信あるって」
マイキーはそう言って笑う。
「そうでしたね。全部見て回りましょう!射的もやりたいし、たい焼きも食べたいです!」
「ん、全部やろーぜ」
「はい!」
二人はまずかき氷屋にやって来た。
「いらっしゃい!」
人の良さそうな店主が二人を迎える。
「わぁ、いろんな味がありますね」
「黒蜜きなこ味だって」
「王道のイチゴとメロンとブルーハワイもあります」
サンプルがあって選びやすかった。
「僕はイチゴにします。マイキーくんは?」
「カノ、一緒に食お。」
「僕のでいいんですか?」
「うん」
「わかりました。すみません、イチゴ味一つください」
「300円だよ」
「(300円…)」
財布を取り出そうとポケットに手を伸ばすが…カノトが払う前にマイキーが300円を先に店主に払った。
「マイキーくん、僕が払ったのに…」
「でももう払ったし」
「…ありがとうございます」
「ん、どういたしまして」
出来上がったかき氷を貰いそこから離れる。
「マイキーくん先にどうぞ」
「オマエが先に食っていーよ」
「じゃあ…いただきます」
イチゴシロップがかかったかき氷をストローで掬い、パクッと一口食べる。
「甘くて美味しい!でも頭がキーンとする…っ」
シャリシャリとした氷を噛み砕くが、急に口に入れたからか、冷たさで頭がキーンとなった。
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