第49章 手放せない愛を抱えて
「もう少し抱きしめてたいけど、オマエからも話があるだろうし、ひとまずココアでも飲んでからゆっくり話そうぜ」
「万次郎くん、ココア好きでしたっけ?」
「カノが作ってくれるココアが好き。隠し味もたっぷり込めてあるから、めちゃくちゃ甘くて美味かった」
「隠し味…ですか」
「オレが大好き〜❤︎っていう愛情♪」
「なっ……!」
隣に座ったマイキーがニヤリと笑いながらカノトを揶揄うように言う。隠し味が愛情だと気付き、顔を紅くしながら驚く。
「だから今日も隠し味入れてオレのココア作って❤︎オレもカノが大好き〜❤︎て愛情込めながら作るから」
「隠し味入れたところで味は変わらないと思います…」
「分かってねーなぁカノ。自販機で買うココアとかスーパーで買うココアは普通の味だけど、好きな奴が作ってくれるココアは別格で美味いって知らねえの?」
「そう…なんですか?」
「嘘だと思うなら試してみようぜ。ぜってー愛情込めて作った方がめちゃくちゃ美味いって納得するからさ」
「そこまで言うなら…」
マグカップを二つ、マイキーと自分の前に置く。今回は温かいココアを作ることにした。
「万次郎くん、ココアパウダーをスプーンで救ってマグカップの中に入れてください」
「何杯入れればいーの?」
「小さじ2でお願いします」
「小さじ2ね…」
市販のココアパウダーをスプーンで掬い取り、マグカップの中に入れる。
「(本当に味なんて変わるんだろうか。でも万次郎くんが言うんだし…隠し味入れてみようかな。"万次郎くん、大好き。誰よりも貴方のことを愛してます"…なんか恥ずかしい。)」
「入れたら次はどうすんの?お湯注ぐ?」
「はい」
「ならカップ貸して」
「自分で出来ますよ?」
「ダメ。火傷したら危ねぇだろ。これ以上カノが怪我すんのはやなんだよ。」
「…じゃあお願いします」
マグカップを渡すとマイキーがお湯を注いでくれる。湯気が立ち昇ったココアから甘い匂いが漂ってきた。
最後に粉末のココアパウダーがダマにならないようにスプーンでかき混ぜて完成した。
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