第5章 ミッション失敗…?
「おー何?もう始めてんの?…お前結構酔ってやがんな?嘘つけ!…俺も今出るよ」
携帯を耳に当てたまま、支度を始める。
「なぁ、あのさ…ピンクゴールドの髪した中学生知ってるか?バイクに乗ってんだけど。あ?中学生なのにバイク乗ってんのかって?今はそんなことどうでもいいんだよ!」
車の鍵を持ち、座って靴を履く。
「愛機?そうだな…ありゃ多分CB250Tだ。あ?何で知ってるか?…知り合いにいたんだよ。昔、CB250Tに乗ってた奴が…」
扉を開け、鍵を閉めるとマドカは驚いた顔でピタッと止まる。
「東京卍會…?」
友達から教えてもらった情報に耳を疑う。
「じゃああいつが…佐野万次郎?」
マンションの下で妹と楽しげに話している男を見て、マドカは信じられないような顔を浮かべた。
✤ ✤ ✤
「マイキーくん!お待たせしました!」
「おー髪いつもと違う。頭の横ンとこ三つ編みにしてんだ」
「今日はお祭りなので」
「オレのために髪やってきてくれたの?」
「!…別に、そういうわけじゃ…」
「素直じゃないなーカノは」
「うっ」
「似合ってんね」
「ありがとう…ございます」
不意打ちを突かれ、恥ずかしさで顔が火照る。マイキーはにこりと笑んだまま、カノトを見つめていた。
「じゃあ行くか。ヘルメット被って」
「マイキーくんあまりヘルメット被らないのにいつも持ってるんですか?」
「ソレ、オマエ専用。」
「え?」
「万が一って事もあるだろ。だから一応な。まぁオレが事故るとかありえねーけど」
「(でも無免許なんだよね…)」
その自信たっぷりに思わず笑ってしまう。マイキーなら本当に事故らないだろう。それでもカノトの安全を考え、ヘルメットまで用意してくれたのだ。
「マイキーくんの腕を信用してますよ」
「任せろ」
「安全運転でお願いします」
「オマエ乗せてんだから飛ばすワケないじゃん」
ヘルメットを被りバイクの後ろに跨る。両手をマイキーのお腹に回し、しっかりと掴まる。
「しゅっぱーつ!」
「おー!」
掛け声に合わせてカノトも返事をするとマイキーはバイクを走らせた。
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